何があったのか

公表されたのは、ABS-201を用いた第2相試験STORYLINEの追加的な設計内容とされる。試験は二重盲検の無作為化プラセボ対照として計画され、手術で子宮内膜症と診断され、中等度から重度の子宮内膜症関連痛を持つ参加者を対象に、有効性と安全性を評価するとみられる。評価項目には、患者自身の報告に基づく月経困難症と非月経性の骨盤痛の軽減が含まれるとされ、痛みの主観的な改善を主要な指標に据えている点が特徴に当たると考えられる。募集は約150名を10カ国以上から見込み、実施はプロトコルの最終化と規制当局の承認を前提とするとされる。

ABS-201は、プロラクチン受容体を標的とする治験段階の抗体で、Absciの生成AI基盤で設計されたとされる。同社は現在、男性型および女性型の脱毛症を対象とする第1/2a相試験HEADLINEを進めており、そこで得られる安全性、忍容性、薬物動態のデータを、子宮内膜症の第2相試験における用量選択に用いる想定とされる。用量は2つか3つの水準を試す計画とされ、その決定は先行試験のデータ確認を待つ段階にあるとみられる。開始時期は、2025年末時点では2026年後半とされていたものが、今回の発表では2027年半ばへと後ろへ移った形になっている。子会社ではなく1つの抗体を複数の適応症で展開する構造が、この開発計画の骨格に当たるといえそうである。

なぜ起きたのか

第2相の開始が2027年半ばへ動いた背景には、先行するHEADLINE試験のデータを用量選択に反映する設計上の判断があるとみられる。子宮内膜症の試験で試す用量は、脱毛症を対象とする第1/2a相で得られる安全性と薬物動態の結果を踏まえて決める構造とされ、先行データの蓄積を待つことが開始時期を規定していると考えられる。1つの抗体を2つの適応症で並行して開発することで、一方の試験で得た知見をもう一方の用量設計に活用できる利点がある一方、先行試験の進捗が後続の時期を左右する依存関係も生じるといえそうである。