AIが点火した「スーパーサイクル」――半導体は1.3兆ドル経済圏へ、ボトルネックはGPUから電力網へ移った
ウォール街で30年近く半導体を追ってきたアナリスト、スタシー・ラスゴン氏が「キャリアで最大のスーパーサイクルかもしれない」と語った。だが本当に注目すべきは強気の宣言そのものではない。供給制約の「主戦場」が、半導体から電力という物理インフラへと滑り出している点にある。需要が業界の応答能力を追い越し始めたとき、最後に効いてくるのは技術力ではなく送電線とタービンだ。今回はその構図を、数字で読み解いていく。
何が起こったのか
ベルンスタインのラスゴン氏が、AI主導の半導体需要は本物の「スーパーサイクル」だと位置づけた。複数の市場予測がこれを裏づけている。IDCは2026年の半導体売上高を1兆2,900億ドル(約207兆円)と見込み、これは2025年の8,428億ドルから52.8%増という、業界史でも稀な伸びだ。SEMIも2026年を約1.3兆ドル、2030年に1.9兆ドル、2035年に3.7兆ドルへと拡大する見通しを示している。
制約はGPU単体にとどまらない。供給不足はHBM(広帯域メモリ)、半導体製造装置、先端パッケージング、そして電力供給へと連鎖的に広がっている。HBMはAIアクセラレータのシリコン消費の中核を占め、1GBあたりのウエハー消費は標準DRAMの3倍前後に達するとされる。需要側ではAnthropicの年間経常収益が昨年12月時点の約90億ドルから300億ドル規模へ急拡大したと報じられており、市場の焦点が学習(トレーニング)から推論(インファレンス)へ移りつつある。
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