発表内容の骨子

今回の買収は、オーストラリアの制度に基づくスキーム・オブ・アレンジメントの形で進められており、10月21日に株式交換比率が公表され、10月22日に対象側証券保有者の承認、10月26日に西オーストラリア州最高裁判所の承認を得たと順次公表されている。スキームは裁判所の承認を要する合併手続きとされ、証券保有者の賛成と司法の承認という2つの関門を通過した段階にあたるとみられる。対価はCRMLの株式で支払われる構成とされ、これに伴う新株発行が既存株主の持分希薄化につながる点が意識されたとみられる。実際、10月下旬にかけてCRML株は新株発行観測を背景に下落したと市場メディアは伝えており、戦略資産の取り込みという前向きな側面と、希薄化という負の側面が同時に意識された反応と読めるとされる。買収の対象は、European Lithiumが保有するオーストリアのリチウム開発計画とされ、欧州でも数少ない許認可を取得済みの硬岩系リチウム案件のひとつと位置づけられている。CRMLはもともと、この案件を米国で上場させるための受け皿として設けられた経緯を持つとされ、今回の取引は別法人として残っていた対象側を上場体へ一体化する再編にあたるとみられる。CRMLはこのほか、グリーンランドの希土類案件も保有しており、西側の重要鉱物を束ねる上場体としての性格を強める動きとして読めるとされる。今回の一体化は、新たな鉱区の取得ではなく、もともと同じ案件を起点に分かれていた主体を束ね直す性格の取引とされ、資産そのものが増えるというより、意思決定と資本調達の主体が一本化される点に意味があるとみられる。対価が現金ではなく株式である構成は、開発段階で手元資金を温存したい企業にとって選ばれやすい形とされる一方、既存株主の持分を薄める副作用を伴うとされる。

背景と文脈