承認内容とTranspher A試験の骨子

FDAが9月17日付で承認したFayuviは、AAV9ベクターを用いてSGSH遺伝子を中枢神経系に導入する遺伝子治療で、単回投与により内因性のヘパラン硫酸分解酵素の産生を回復させることを目的とする。承認対象はMPS IIIAの小児患者で、初回投与は生後18か月から24か月付近を想定した設計とされる。

臨床データの中核はTranspher A試験で、Fayuvi投与群17例(mITT集団)と自然経過対照27例を比較した非ランダム化長期追跡試験の結果が用いられた。主要評価項目は24-60か月時点でのBayley-III認知スコアの生スコア変化で、投与群は対照群比で23.5ポイント高い認知スコアを示し(p<0.0001)、統計学的に有意な差異が確認されたと公表されている。追跡期間は最長で約8年に及び、脳脊髄液中のヘパラン硫酸濃度は全年齢層で低下し、生化学的マーカーの改善も併せて確認されたとされる。

MPS IIIAは進行性の神経変性疾患で、患者は通常5-7歳頃から急速な認知退行を経験し、生存期間の中央値は15年程度と報告されてきた。従来治療は対症療法に限定されており、疾患修飾的アプローチとして初めて承認された治療選択肢という位置づけになる。