日本人が米国小型株で不利になる3つの情報格差と、その埋め方
米国の小型株を日本から追う場合、現地の投資家と同じ土俵に立っているとは言い難い構造がある。格差の中身は、能力や熱意ではなく、時差、言語、取引経路という物理的で制度的な条件に由来する。しかもこれらは、カバレッジの薄い小型株ほど影響が大きくなる性質を持つ。大型株であれば日本語の報道が数時間以内に流れ、どの証券会社でも売買でき、決算の要点は翻訳されて届く。小型株では、そのいずれも保証されない。他方、この3つの格差はいずれも構造が明確であり、構造が明確であるがゆえに、埋め方も設計として組み立てられる性質を持つとみられる。本稿では、日本から米国小型株を追う際に生じる情報格差を分解し、それぞれに対する現実的な対処の方向を整理する。特定銘柄の売買を論じるものではなく、情報環境の解読を主眼とする。
時間の格差
最も基本的で、最も避けがたいのが時差による格差である。米国東部時間と日本時間には夏時間で13時間、冬時間で14時間の開きがあり、この差が情報に触れる時刻を構造的にずらす。
米国企業の決算発表は、市場の引け後に行われる慣行が定着している。東部時間の午後4時過ぎという時刻は、日本時間では早朝5時から6時頃にあたる。決算説明会がその後1時間ほど続くため、経営陣の説明と質疑応答が行われる時間帯は、日本では就寝中か起床直後に重なる。現地の投資家が説明会を聴きながら翌日の判断を組み立てているあいだ、日本からは同じ作業ができない構図が生じる。
適時開示についても同様の非対称が働く。重要な契約の締結や経営陣の異動は8-Kとして提出されるが、その提出時刻は米国の営業時間に沿う。日本の日中に相当する時間帯は米国の深夜にあたり、開示が集中する時間帯とは重ならない。日本で情報に触れるのは、多くの場合、既に価格が反応した後になる。
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