何が起きたのか

可視光通信そのものは古くからある発想だが、これまで到達距離は数メートルにとどまり、室内でデータを少し飛ばす程度の用途に限られていた。今回のブレイクスルーの鍵は「準透明セラミック」という新しい素材にある。

レーザー光を、目に安全な白色光へ変換する部品の材料として、従来はシリコーン樹脂が使われてきた。だが樹脂は出力を上げると熱で焦げてしまい、長距離化を阻んでいた。新しいセラミックは熱伝導率が樹脂の20倍以上あり、高出力レーザーの連続照射に耐えられる。

さらに画期的なのが製造法だ。従来の透明セラミックは数千度・数万気圧という極限環境でしか作れず高コストだったのに対し、研究チームはガラスにカルシウムイオンを添加して分子の移動経路を確保し、穏やかな加熱だけで高密度のセラミックを育てる方法を確立した。そして屋外で、強い風や外部の光の妨害がある環境下でも、1.2キロメートル先へエラーなくデータを送ることに成功したと報告されている。