背景:なぜこのタイミングでの提携か

T細胞エンゲージャー技術の自己免疫領域への展開機運

T細胞エンゲージャーは、T細胞と病原細胞・標的細胞の両方に結合する二重特異性・多重特異性抗体で、これまでオンコロジー領域(血液腫瘍中心)で商業化が進んできた技術となる。BlincytoやBiTE、Kymriah後続のTCE系薬剤が実臨床で成果を上げてきた経緯を踏まえ、業界の関心は自己免疫疾患領域への応用拡張に移りつつある構造にある。自己免疫領域では、病原性B細胞や特定T細胞サブセットを標的として選択的に除去する仕組みが、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、天疱瘡等の難治性疾患に対する新たな治療パラダイムを開く可能性があるとされる。既存のCAR-T細胞療法は自己免疫領域でも臨床試験が進んでいるが、コスト・製造複雑性・毒性の観点で標準治療として拡張しにくい構造にある。TCEはoff-the-shelf(既製)で使える二重特異性抗体として、CAR-Tの代替アプローチとして注目される展開となっている。