発表内容の骨子

VaultIC409はQS7001プラットフォーム上の耐量子対応セキュアエレメントで、Common CriteriaのEAL5+認証を取得手続き中とされる。ハードウェアのルート・オブ・トラストに、古典とポスト量子の両アルゴリズムの処理を組み合わせ、NISTが標準化したML-KEMとML-DSAに対応し、SPIインターフェースを備える。想定市場はスマートメーター、産業用ゲートウェイ、接続機器で、エンジニアリングサンプルは2027年第2四半期の提供を計画する。QVault TPMはポスト量子対応のTPMで、ML-DSAとML-KEMの鍵をRSAやECCと併せてチップ上で生成・保管し、FIPS 140-3とTCGの認証取得を進めるとされ、組み込み向け暗号ライブラリのwolfSSLがwolfTPMで対応済みとされる。QASICは、2025年8月にグループ入りしたIC’Alpsによる耐量子ASICの設計提案で、個別仕様のチップ設計の経路を短縮する位置づけとみられる。セキュアエレメント、TPM、カスタムASICという3つの層を同時に揃えた点は、単品ではなくポスト量子移行の全体を抱え込む品揃えで臨む構えを示すと考えられる。古典とポスト量子の両アルゴリズムを併載する設計は、既存の暗号資産を残しながら段階的に移行したいという現場の要請に沿うもので、全面切り替えを一度に迫らない現実的な導入経路を用意した点に特徴があるとみられる。標準品のセキュアエレメントから個別設計のASICまで幅を持たせた構成は、量を求める汎用用途と仕様が固有の用途の双方に接点を持とうとする狙いとも読み取れる。

背景と文脈