宇宙関連株が連れ高、SpaceX史上最大IPO申請が引き金に ── 通信・打ち上げ・衛星データに資金流入
SpaceXは先週S-1(上場目論見書)を公開し、目標時価総額は約1.75兆ドルとされています。実現すれば、サウジアラムコが持つ約294億ドルの記録を抜いて史上最大のIPOになる見込みです。調達額は最大800億ドル規模と報じられており、ロードショーは6月8日の週、上場は6月が目標とされています。NASDAQへの上場が予定されています。
S-1では、Starlink中心のコネクティビティ部門が2025年に約113.9億ドルの売上、約71.7億ドルのセグメント調整後EBITDAを計上したと開示されました。全体売上は180億ドル規模とされ、この数字が「商業宇宙企業をどう評価すべきか」という市場全体の基準を塗り替えつつあるのが今回の上昇の核心です。
足元では、5月26日(火)の取引でAST SpaceMobileが約20%、Planet Labsが約15%、Rocket Labが約6%上昇しました。これは「pre-IPO halo(IPO前の連れ高)」と呼ばれる典型的な現象で、上場前に資金が公開市場の宇宙関連銘柄へ回転している動きです。
どのセクターへの影響が期待される?
主な波及先を、報道で実際に動きが確認されている領域に絞って挙げます。
衛星通信(直接スマホ接続)
AST SpaceMobileが代表格です。StarlinkのEBITDA水準が、衛星通信ピアの評価ベンチマークになると報じられています。AT&T・Verizon・T-Mobileが衛星合弁を発表したことも、direct-to-device市場の追い風になっています。
打ち上げ・ロケット製造
Rocket Labが中心です。Q1 2026売上は2億35万ドル(前年比64%増)、受注残は過去最高の22億ドル。Neutronロケットの投入が2026年後半に予定され、SpaceXの公開市場参入で「代替の最有力株」として位置づけられています。
衛星画像・地理空間データ
Planet Labsが該当します。残存履行義務がNGA・NRO・NASA・米海軍・NATOなどの防衛・情報契約により361%増の6.72億ドルへ拡大したと報じられています。
月・宇宙インフラ
Intuitive Machines(NASA契約中心、2026年売上ガイダンス最大10億ドル)、Redwire、BlackSky、Firefly Aerospace、York Spaceなどが連動して動いています。加えて、Morgan StanleyのアナリストAdam Jonas氏が公開宇宙関連60銘柄「Space 60」を提示しており、セクター全体への機関投資家マネー流入の受け皿として注目されています。
Morgan StanleyのSpace 60は「7つのテーマに分けた60銘柄のマップ」であり、Morgan Stanley自身が「トップ10」を公式に順位付けしているわけではありません。報道で確認できるのは、60銘柄のリストと、テーマごとに同社が代表例として挙げた銘柄です。
そのうえで、報道で具体的な成長度(株価上昇率や業績)と根拠が確認できる主要銘柄を、宇宙ピュアプレイ中心に10銘柄ピックアップして整理します。順位は報道での注目度・上昇率を目安にした参考並びで、Morgan Stanley公式の序列ではない点に留意してください。
1. Rocket Lab(RKLB)
過去12か月で400%超、SpaceX IPO報道(3/25)以降で57%上昇。根拠はQ1 2026売上2億35万ドル(前年比64%増)、受注残が過去最高の22億ドル、Neutronロケット投入が2026年後半予定。Golden DomeのSpace Based Interceptor計画でRaytheonと組んだ点も材料です。
2. AST SpaceMobile(ASTS)
過去2年で約4,350%という突出した上昇。根拠は標準スマホへ衛星から直接通信する技術で、契約済み収益12億ドル超、FCCから248機の認可保有、2027年に売上ランレート10億ドルを目標。5/6にBlueBird 7が想定より低い軌道へ投入された運用上の問題は抱えています。
3. Planet Labs(PL)
過去1年で約1,103%上昇とグループ内で最大級。根拠は残存履行義務が361%増の6.72億ドルへ拡大、NGA・NRO・NASA・米海軍・NATOなどの防衛・情報契約が牽引。年間契約価値の98%が継続収益という収益質の高さも挙げられています。
4. Intuitive Machines(LUNR)
SpaceX IPO報道以降で46%上昇。根拠は2026年売上ガイダンスが最大10億ドル(直近12か月の約2億1,000万ドルから約5倍)、受注残9億4,300万ドル、NASA・防衛契約が中心。5銘柄の中では収益化に最も近いと評価されています。
5. Redwire(RDW)
直近で22%超上昇。根拠は2025年通期売上3億3,540万ドル(10.3%増)、Q4売上が56.4%増の1億880万ドル、2026年ガイダンス4億5,000万〜5億ドル。Morgan Stanleyが衛星・宇宙インフラ製造テーマの代表例として挙げています。
6. BlackSky Technology(BKSY)
根拠は2026年4月に2,500万ドルの複数年防衛契約を獲得、2026年売上を最大1億4,500万ドルと見込み、Gen-3衛星群でプラス調整後EBITDAを予想。地理空間インテリジェンス領域の銘柄です。
7. MP Materials(MP)
Morgan Stanleyが原材料テーマの筆頭格に挙げたレアアース生産企業。根拠はレアアースが戦闘機・EV・宇宙機に不可欠で、宇宙機需要増が成長を後押しする構図。カバーするアナリスト16人全員がBuy評価という点が強調されています(S&P500平均のBuy比率は通常55〜60%)。
8. ATI(ATI)
合金テーマの代表格。チタン・ニッケル基など高性能合金メーカーで、ロケット・衛星製造のボトルネックとなる特殊金属を供給。カバーするアナリスト13人全員がBuy評価です。
9. Iridium Communications(IRDM)
衛星通信オペレーター。地球と宇宙機間の通信・データサービスを提供するカテゴリーに分類され、Space 60の通信インフラ枠に含まれています。
10. Globalstar(GSAT)
衛星通信枠の一角。Amazonが1株90ドルで買収に合意したと報じられ、direct-to-device・衛星通信領域の再評価を象徴する動きとして注目されました。
補足として、Morgan Stanleyが分けた7テーマは、原材料(レアアース)、合金、産業ガス(Linde・Air Productsが推進剤供給)、半導体・光学、ロケット・衛星製造、衛星サービス・通信、防衛などです。Adam Jonas氏は「Space is back in a big way」と表現し、宇宙チーム発足以来約10年で最高水準の投資家関心と述べています。Space 60のうち24銘柄が過去1年で2倍以上になっています。
なお、ここまでは報道事実の整理であり、投資判断ではありません。AST SpaceMobileやRocket Labのような数百〜数千%の上昇は、IPO前の連れ高(pre-IPO halo)を多分に含むとの慎重な見方も報じられています。トップ10という並び順も、Morgan Stanley公式の順位ではなく報道ベースの参考である点を改めて押さえておいてください。
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