CEOが交代した直後の小型株に何が起きているか
経営者の交代は、株価にとって好材料として語られることがある。業績が振るわない企業で経営陣が入れ替われば、方針が転換され業績が改善するという筋書きが成り立つためとみられる。実際、この見方を支持する研究も存在する。1971年から1995年の米国企業1200件の交代発表を対象とした分析では、発表前日と当日の2日間で0.354%の正の異常収益率が観測された。取締役会と経営者の戦略上の対立に起因する交代では、交代前に業績と株価の顕著な低下が先行し、交代後に業績が改善する傾向も報告されている。他方、これらの研究の対象は、機能する取締役会と後継者の育成体制、複数の分析者による観察を備えた企業が中心となる。1株が1ドルを下回る領域では、前提が大きく異なる。ナスダック上場のペニー株は400社を超えるとされ、その多くが上場基準の維持に直面している。本稿では、この領域における経営者交代が何を示すのかを整理する。特定銘柄の売買を論じるものではなく、事象の構造の解読を主眼とする。
学術的な知見が前提とするもの
経営者交代と株価の関係を扱う研究は、いくつかの条件を前提としているとみられる。
まず、交代が取締役会の判断として行われるという前提がある。業績が振るわなければ取締役会が経営者を交代させ、後任が方針を転換するという因果が想定される。研究では、景気後退の局面ほど企業固有の株価収益率が交代の確率を左右すると報告されており、取締役会が株価を経営者の能力を測る材料として用いる構図が示されている。
次に、後任の確保が可能であるという前提がある。交代が価値を生むのは、前任より適した人物が就任する場合に限られる。研究では、外部から後任を招いた場合とそうでない場合で市場の反応が異なることも指摘されている。後任の質が結果を規定する要素になる。
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