そもそも何が凄いの?実験室の量子からフィールドの量子へ

これまでの量子コンピュータの応用は、化学の分子軌道計算、金融のオプション価格計算、暗号解読といった、数学的にキレイに定式化された問題が中心でした。研究者が仮説を立てて、それを量子回路に落とし込む、いわば実験室の中で完結する研究です。

しかし今回IonQが挑むのは、行動生態学、それも観察データから帰納的にモデルを構築する経験科学です。フィールドの複雑系にそのまま量子コンピュータを投入する、初の本格的な事例となります。

対象は、遺伝的にほぼ同一なのに行動が真逆な2種、チンパンジーとボノボ。チンパンジーは集団同士で組織的な殺し合いをする一方、ボノボは集団間でも比較的平和に共存します。この分岐の原因を、65年分のゴンベ観測データとエージェントベースモデル(ABM)B3GETに量子強化を加えて解明しようというのが、今回のプロジェクトです。