NOVONIXがACPと国産黒鉛負極材で提携、ピッチ被覆と国内原料という供給網再構築の論点
発表内容の骨子
今回の覚書は、ピッチ被覆の合成黒鉛負極活物質を対象に、原料から活物質までを国内で完結させる供給網の共同開発を狙うものとされる。ACPは石油由来の供給原料を工学的に設計した炭素前駆体と高付加価値のピッチに転換する特許技術を持ち、このピッチ被覆が急速充電の性能を高め、軍用ドローンのような要求の厳しい用途にも対応しやすくするとされる。ピッチは黒鉛粒子の表面を覆って充放電時の副反応を抑え、サイクル寿命や入出力特性を左右する要素とされ、負極材の性能を決める工程の一つと考えられる。両社は共同開発で得た材料を工程検証と顧客向けサンプリングに充て、国内で新たに調達する原料を用いた活物質の認定と商用化を進める方針を示した。NOVONIXの技術開発担当責任者であるHarrison Kreafle氏は、米国内の製造体制を拡大するうえでこうした戦略的な関係が不可欠と述べ、ACPのKevin Mulrenin社長は、北米における電池グレード黒鉛の競争力ある供給網の開発と商用化を加速させたいと述べた。ここで留意すべきは、覚書が拘束力を持たない段階にある点で、工程検証と顧客認定という関門を経てはじめて供給の実体を伴うため、現時点では構想の表明にとどまるとみられる。それでも、負極材の性能を左右するピッチ工程を国内の原料から押さえにいく姿勢は、完成した活物質を輸入に頼る従来の発想とは異なる踏み込みと受け止められる可能性があると考えられる。
背景と文脈
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