本社の州と設立州は別の層になる

まず、州という言葉が指す2つの層を分ける必要がある。

設立州は、その企業の会社法上の準拠法を決める。取締役の義務の水準、株主が取締役を訴える際の要件、支配株主との取引の審査基準、株主総会の手続きは、いずれも設立州の法律と裁判所によって規定される。米国では、事業をどこで営むかにかかわらず設立州を自由に選べるため、本社と設立州が一致しない構成が広く見られる。デラウェアが長年選ばれてきたのは、会社法の判例が厚く、専門の裁判所が判断の予見可能性を提供してきたためとされる。

本社の州は、これとは別の経路で効く。州の法人税、給与に関する税、事業への規制、人材の確保、事務所の費用は、本社と事業拠点の所在地に従う。法人所得税を課さない州に本社を置けば税の負担は変わる一方、株主としての権利には影響しない。逆に、設立州を変更しても、本社が動かなければ事業の費用構造は変わらない。