過去のテンバガーは何年目で最大の下落を経験しているか
100倍に達した365銘柄を対象とした調査では、そのすべてが少なくとも1回は50%の下落を経験していた。多くは複数回経験し、大半は75%以上の下落も少なくとも1回は通過している。直近5年で10倍に達した米国株の集計では、最大下落率の中央値は56%で、6銘柄は80%以上の下落を記録した。これらの数字が示すのは、大きな上昇と大きな下落が排他的ではなく、同じ銘柄の履歴に共存するという構造である。他方、その下落が何年目に訪れるのかという問いに対して、単一の答えは示されていない。時期は銘柄ごとに散らばり、上昇の初期に来る場合も、途中で来る場合も、複数回訪れる場合もある。本稿では、時期を特定できないという事実そのものを起点に、最大下落がどのような構造で発生するのかを整理する。特定銘柄の売買を論じるものではなく、下落の構造の解読を主眼とする。
何年目という問いに答えがない理由
まず、この問いに単一の年次で答えられない理由を確認する。
最も基本的な要因は、10倍に達するまでの期間そのものが銘柄によって大きく異なる点にある。年率8%で推移すれば10倍に達するまでに約30年を要し、年率50%であれば6年未満で到達する。どちらも10倍という結果は同じだが、経過する期間は5倍の開きがある。100倍に達した銘柄では平均で26年を要したとされ、20年から25年という整理も示されている。到達までの期間がこれだけ幅を持つ以上、下落の時期を何年目という共通の物差しで語ることは難しい。
下落が1回で終わらない点も、時期の特定を困難にする。100倍に達した銘柄の多くは50%の下落を複数回経験しており、75%以上の下落も1度ならず通過した例が少なくないとされる。ある銘柄では、最も成績の良かった対象が半減を少なくとも3回経験している。複数回の下落があるとき、最大のものがどれかは事後にしか確定しない。
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