生存という言葉の二重性

テンバガー候補という括りで語られる銘柄の多くは、収益化前の企業である。将来の成長期待が企業価値の大半を占め、足元では現金を消費し続ける構造にある。この性質が、生存という言葉に二重の意味をもたらすとみられる。

企業としての生存は、事業を継続し、上場を維持することを指す。資金を調達できていれば、赤字であっても事業は続く。上場基準を満たし続ければ、市場での取引も続く。この意味での生存率は、直感が示すよりも高い場合がある。企業は生き延びるための手段を複数持っており、それらを行使すれば存続そのものは可能な場面が多い。

株主価値としての生存は、これとは別の事柄になる。当初取得した1株が、3年後にどれだけの持分と価値を保っているかという問いである。企業が存続するために行使する手段の多くが、既存株主の持分を薄める方向に働く。したがって、企業の生存と株主価値の生存は、同じ行為によって一方が守られ他方が損なわれるという、相反する関係に立つ局面がありうる。