小型株で最初に見る指標を1つだけ挙げるなら
収益化前の小型グロース株を追う場合、最初に確認する指標として現金の残存期間を挙げる立場が成り立つ。手元の現金を四半期あたりの消費額で割った数字で、企業があと何四半期にわたり外部からの調達なしに事業を続けられるかを示す。この指標を最初に置く理由は、それが他のすべての指標の前提を成すためとみられる。売上が伸びていても、技術が優れていても、現金が尽きれば事業は続かない。3年から5年の時間軸で銘柄を追うのであれば、その期間を企業が走り切れるかどうかが最初の関門になる。加えて、この数字は過去ではなく将来を示す。前稿で扱った株式数が既に起きた希薄化を記録するのに対し、残存期間は次の希薄化がいつ訪れるかを推定させる。他方、1つに絞るという設定そのものに無理がある点も、併せて整理する必要がある。本稿では、この指標を最初に置く根拠と、その限界を扱う。特定銘柄の売買を論じるものではなく、指標の位置づけの解読を主眼とする。
なぜ現金の残存期間なのか
この指標を最初に置く根拠は、時間の順序にあるとみられる。
収益化前の企業は、事業から現金を生まない。研究開発、設備、人員に費用を投じながら、その成果が売上として現れるまでには時間を要する。この期間、企業は保有する現金を消費し続ける。消費が尽きる前に、事業が現金を生む段階へ到達するか、外部から資金を調達するかのいずれかが必要になる。
Russell 2000の構成銘柄のうち約40%が直近12か月で赤字とされる。指数への新規組み入れ企業に限れば、約62%が赤字という水準にある。小型株の領域では、この状態が例外ではなく相当の比重を占めることになる。したがって、現金がどれだけ持つかという問いは、多くの銘柄に共通して当てはまる論点になると考えられる。
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