リゲッティが商務省と1億ドルの確定契約、政府の株式取得を条件とする資金がもたらす希薄化と検証の両面
何があったのか
契約の主体は同社の完全子会社であり、供与額は1億ドル、配分の根拠はCHIPS法に基づく研究開発部門の広域公募に置かれているとされる。2026年5月21日には最大1億ドルを3年間で受け取る趣旨の基本合意が公表されており、今回の発表はその確定に当たるとみられる。5月時点では量子分野の9社に対して総額20億1300万ドル規模の枠組みが示され、内訳は製造受託2社とシステム開発7社とされていたようである。今回の確定は、この枠組みが契約段階へ移行したことを示す事例に当たると考えられる。
資金が充てられる開発計画は3件とされる。読み出し用の電子回路を集積化して小型の筐体に収める取り組み、新しい冷却装置の構造によって極低温環境の容量を桁違いに拡張する取り組み、そして結線密度の高いチップ構造を製造できる能力の確立が挙げられているとみられる。いずれも量子ビット数を増やす際の物理的な制約となってきた領域に当たり、演算素子そのものの性能向上ではなく周辺の基盤技術に資金が向けられている点が特徴といえそうである。受領条件として商務省が少数かつ支配権を伴わない株式を取得する仕組みも明記され、納税者側の回収を高める趣旨と説明されているとされる。同日にはディーウェーブが同額かつ同条件で確定に至ったと伝えられ、両社の株価はそれぞれ6%から8%程度、5%程度の上昇となったようである。
なぜ起きたのか
政策側の動機としては、量子計算の実用化が暗号、化学、材料、最適化、機械学習といった分野に及ぶ影響の大きさを踏まえ、各国政府が投資を進めている状況が背景にあるとされる。CHIPS法は半導体の国内製造回帰を主眼としつつ、研究開発部門を通じて新興技術にも配分する枠を備えており、量子分野への配分はその適用範囲の拡張に当たるとみられる。特定の1社に集中させるのではなく、方式の異なる複数の企業へ分散して配分する設計が採られている点は、技術的な勝者が定まっていない段階での政策として整合的と考えられる。
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