冷却方式の分岐と技術の勢力図

データセンターの冷却は、単一の技術で構成されているわけではなく、複数の方式が用途に応じて併存する構造にある。方式ごとに成熟度も採用の広がりも異なり、この分岐を把握することが産業地図の出発点になると考えられる。

現在の主流は、直接チップ冷却と呼ばれる方式である。冷却板をプロセッサに密着させ、内部を循環する冷却液が熱を直接受け取る仕組みで、2025年の市場で42.85%の比率を占めたとされる。既存施設への後付けが可能で、Nvidiaが自社の設計で指定する方式でもあることから、少なくとも2028年までは主流の座を保つとの見方が示されている。技術としての成熟度と、後付け可能という実務上の利点が、この方式の優位を支える構図とみられる。

もう一方の方式が液浸冷却である。サーバーそのものを絶縁性の液体に沈め、全部品から同時に熱を吸収する。ファンが不要になり部品全体を覆えるという利点がある一方、運用の複雑さが伴うため、その利点が複雑さを正当化する用途に採用が集まると考えられる。成長率では2031年まで26.62%の年率が見込まれ、直接チップ冷却より高い伸びが予想されるが、絶対的な規模では依然として小さい位置にある。