ロックアップが需給に効く仕組み

新規上場では、通常、発行済株式のうち一部だけが市場に放出される。創業者や従業員、ベンチャーキャピタルをはじめとする上場前からの株主が保有する大半の株式は、ロックアップ契約によって一定期間の売却が禁じられる。この制約は、上場直後に大量の売りが市場を襲って公開価格を崩す事態を防ぎ、公開株の需給が落ち着くまでの猶予を市場に与える機能を担うとされる。

ロックアップの標準的な期間は上場から180日とされ、質の高い案件では90日に短縮される場合や、創業者・経営陣に対して270日から365日と長く設定される場合もある。期間の設定には、早く現金化したい従業員や初期投資家と、供給の集中を避けたい引受銀行のあいだの利害の均衡が反映されるとみられる。いずれにせよ、この期間は契約で確定し目論見書で開示されるため、解除日は上場時点で計算可能な確定情報となる。

解除が需給に効くのは、それまで売却できなかった株式が一斉に売却可能となり、市場に供給されうる株式の総量が跳ね上がるためである。浮動株が数倍から10倍規模に膨らむ場面もあり、この供給ポテンシャルの急増が価格の重石として作用しうる。実際にすべての株主が売却するわけではないが、売却しうる株式が急増するという事実そのものが、需給の見通しを変える要因になると考えられる。